2006年06月11日

転機


それは突然現れた。

冒険の依頼をこなし、数々の財宝を積んだ商用ジーベックHMS Merchant roadは、アレクサンドリアを出航し、東地中海を脱出すべく一路ベンガジを目指していた。
何故脱出なのか・・・・各国が結んだ不可侵条約で一時期安全海域になっていた東地中海だが、その条約の期限が切れた今、東地中海は私掠船の横行する危険海域に戻り、東地中海の各港はヴェネツィアとフランスの熾烈なる投資戦の中にあった。
そういう理由で自然と各国の私掠艦隊が横行する事となり、ラドリック達も十分警戒して航行している筈だった。


「前方より敵影!ガレアスが4隻です!」

警戒直に当たっていたロイが叫ぶ。夜明け前の薄暗い海を裂くように、その艦隊はMerchant roadを目指して一直線に進んできた。

「レイモンド!回避できないか!」

ラドリックがレイモンドを見る。しかし、レイモンドは無言で首を横に振った。

「くそ・・・・・・」

舌打ちをするラドリック。その間にもガレアスは左右に展開しながらMerchant roadを包み込むように迫ってきた。ガレアスのマストには、フランスの国旗がはためいていた。

「船長・・・どうしやす?」

「どうしようもないな、この風向きでは逃げ切れない・・・・かといって、Raging dragonならともかく、このMerchant roadでは・・・・・」

エドの言葉にラドリックは呟いた。
非武装にしたとはいえ、船員の多いアラビアンガレーであるRaging dragonであれば、白兵戦を行いながら活路を見出す事もできたかもしれない。しかし、交易船であるMerchant roadでは接舷されたら最後、拿捕されるのは目に見えていた。

「ラドリック様・・・・敵艦より信号です。『こちらはフランス私掠艦隊。貴艦は我が艦隊の包囲下にある。無益な抵抗をせず停船せよ、従わない場合は貴艦は海の藻屑となる事だろう』です・・・・」

ギムが敵船からの通信文を手にラドリックの元へ現れた。気がつけば、Merchant roadはガレアスに四方から包囲されていた。

「・・・・・・・エド、停船しろ・・・」

ラドリックはそう言いながら床に視線を落とした。



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posted by ラドリック at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月04日

アガメムノンの仮面(後編)

「おらぁあ!!」

一瞬バヌースに視界を奪われたブル・ハーンであったが、視界が元に戻るとすかさずSanativeを切りつけた。尋常ではない膂力から繰り出されたタールワールの一撃がSanative襲う。

「・・・・・甘いな」

受ければ致命傷になるであろう斬撃を、Sanativeは後ろに下がりながら避けた。

「避けるのはうまいようだな、しかしこれならどうだ!」

ブル・ハーンは、Sanativeを連続で斬りつける。しかし、Sanativeはその斬撃をことごとく避けてみせた。しかも、無駄な動きが一つもない。

「うおおおおおお!!」

業を煮やしたブル・ハーンは、頭上でタールワールを風車のように回して気合を入れると、大きく踏み込んで斬撃を繰り出した。Sanativeはまたも後ろに下がって避けてみせたが、避け方が足りなかったらしく、燃えるような赤毛が数本、タールワールに斬られて宙を舞った。

「やはり武器なしでは避けることしかできないじゃねぇか・・・・さっさとおねんねしちまいな!」

更に斬撃を繰り出すブル・ハーン・・・・・しかし、Sanativeは皮一枚の差でその斬撃を避けた。

「・・・・飽きた・・・・遊びは終わりだ」

「何だと!!」

Sanativeの呟きにブル・ハーンが気がついたときには、Sanativeの体は電光石火の速さでブル・ハーンの懐に入り込んでいた。そして、渾身の力を込めたSanativeの拳が、驚くべき速さでブル・ハーンの鳩尾に叩き込まれる。

「ぐはぁ!!!」

凄まじい絶叫と共に多量の吐瀉物を撒き散らしながらブル・ハーンは地面と不本意な口づけをした。そのままピクリとも動かない・・・どうやら意識を失ったらしかった。

「さあ・・・お前達の首領はこのとおりの有様だ・・・次は誰が相手をしてくれるのかね?」

ブル・ハーンを一撃で仕留めたSanativeは、ブル・ハーンの手下達をその隻眼で睥睨しながらそう言った。

「ひ・・・・ひぃ!!」

一人が緊張に耐えられずにSanativeに背を向けて逃げ出す。ブル・ハーンの手下達は、蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げ去った。

「おい・・・・首領を置いていっていいのか?」

Sanativeはそう呟くと、ブル・ハーンを足で蹴った。しかし、ブル・ハーンはピクリとも動かない・・・

「まあいいか」

Sanativeは脱ぎ捨てたバヌースを着ると、ラドリック達の方を向いた。

「ラドリック卿、レヴィ嬢、待たせたな。久しぶりに運動もできたことだし、そろそろ探索を再開するとしようか」


Sanativeはそう言うと、廃墟の方に向かって歩を進めた・・・





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posted by ラドリック at 22:48| Comment(3) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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