2007年04月28日

脱出

§1§




「こいつらは海賊なんかじゃない!イングランド海軍の密偵だ!」


ハイレディンの影武者だった男がラドリック達を指差しながら叫ぶ。その声に周囲の海賊達が一斉に立ち上がった。

「なんだって!」

「よくもここまで入り込んできやがったな!」

「簀巻きにして鮫の餌にしてやる!」

口々に罵声を浴びせながら得物を構える海賊達を向こうにまわしながら、ラドリックとディックは周囲を見回していた。

「まずい事になりましたね・・・・船長どうします?」

「どうするといったって・・・・取り合えず・・・」

ラドリックはそう呟くと、腰のベルトに手挟んでいた短銃を抜き放ち、空に向かって撃った。その音に、一瞬海賊達が身を竦ませる。

「取り合えず逃げるぞディック!」

「了解!」

ラドリックはディックにそう言うと、ハイレディンの影武者だった男に向かって走り出した。ディックもそれに続く。

「なっ!?」

突然の行動に驚く影武者の横をすり抜けると、ラドリック達は目の前の林に向かった。

「くそ・・・・馬鹿にしやがって・・・・おい、追いかけるぞ!」

不意を衝かれた影武者は配下に声をかけると、ラドリック達のあとを追いかけて林に向かった。酒場にいた海賊達も大半はあとに続いたが、一部の者はテーブルに座ったまま動かなかった。そして、その中の一人が林の方を見ながら呟いた。

「・・・・提督、どうします?」

「・・・・・ほっとけばいい・・・というのは無関心すぎるか」

そう言うと、提督と呼ばれた男は椅子から立ち上がった。

「出港準備をするぞ、それと・・・・外の連中にも伝書カモメを飛ばしておけ」

「了解しました」

男はそう言うと、桟橋を目指して歩き始めた・・・・・

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posted by ラドリック at 20:31| Comment(3) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月17日

海賊の集まる島

§1§



「Band of lightとの距離500!砲弾装填完了しました!すでにpip船長の船は砲撃を開始しています!」

副官のロシェの言葉にレヴィローズは頷くと、Band of lightの方を見ながら言葉を放った。

「1番から順番に発射して!但し、絶対にBand of lightには当てないこと!

レヴィローズの命令をロシェが復唱する。砲術長の号令とともに、無数の砲弾がBand of lightに向かって放たれた。

しかし、レヴィローズが厳命したとおり、砲弾はBand of lightの左右に着弾するが、派手な水柱を上げるばかりで肝心の船体には命中しない。同じく並行しているpip船長の船から放たれた砲弾も命中していなかった。
・・・・そう、これは芝居・・・・ラドリックBand of lightが海賊島であるナッソーに潜入する為の芝居なのだ。

グレッグ男爵にナッソーの調査を依頼されたラドリックは、一緒にカリブに来ていたレヴィローズ、pip、養殖おりびあに協力を頼み、各国の哨戒艦隊から追われるイングランドの私掠船を装ってナッソーに潜入する事にした。そして、わざとナッソー周辺に張り巡らされた海賊達の哨戒網に引っかかるように、偽りの艦隊戦を行なっているのだった。その為、Band of lightは海賊船に偽装しており、一見普通の船には見えなかった。

「・・・・・うまく行くかしら・・・・・」

偽りの攻撃を加えながら、レヴィローズは呟いた。既にナッソーの哨戒網奥深くに入っているにもかかわらず、レヴィローズ達の艦隊を迎撃する艦隊も海賊船に偽装してるBand of lightを救援する艦隊も出てくる気配がなかった。その静けさが、レヴィローズの不安を駆り立てた。

「後方のおりびあ船長の船がBand of lightに砲撃しています!」

「何ですって!おりびあさんは周囲警戒の役で砲撃には参加しないはずよ!」

レヴィローズはそう言うと、養殖おりびあの船を見た。養殖おりびあのアラビアンガレーは、Band of lightに接近しながら砲撃を加えていた。一見それは、砲撃戦に業を煮やしたガレーが接近戦を仕掛けたようにも見えた。

「船長、おりびあ船長から伝書カモメです」

ロシェは、おりびあの所から放たれた伝書カモメの足についていた連絡文をレヴィローズに手渡した。レヴィローズはその連絡文を開く・・・そこには「偽装とわかる偽装は偽装にあらず。危険が増すだけ」と書かれていた。

「まさか・・・おりびあさん本気で砲撃を仕掛けるんじゃ・・・・」

レヴィローズがそう思った瞬間、激しい爆発音が聞こえた。レヴィローズがその爆発音の方を振り向くと、おりびあの船の砲撃がBand of lightの船腹に命中し、黒煙を上げていた。おりびあの船は更にBand of lightに肉迫する。

「おりびあさん!」

レヴィローズは叫んだ。そしてロシェの方を向くと、周囲を警戒するように命令を下す。そして・・・・

「船長!右前方の島影に艦影!ガレオン級が4隻・・・ようやく出てきたようです!」


ロシェの言葉にレヴィローズは頷くと、砲術長に合図の空砲を撃たせた。その合図にpip船長もおりびあ船長も、船を転回させて戦闘区域から離脱する構えを見せた。ラドリックのBand of lightは、消火作業を続けながら、前方の島に流れいく・・・


「ロシェ、私たちも戦闘区域を離脱します!そして、打ち合わせの通りに集合場所へ針路を!」

レヴィローズの命令をロシェが各所に伝える。そして軋むような音とともに、船は転回した。

「お兄様・・・ご無事で・・・・」

レヴィローズは後方を振り向きながらそう呟いた。その目線の先には、ナッソーの艦隊に囲まれるBand of lightの姿があった・・・




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posted by ラドリック at 22:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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