2007年06月24日

追憶

§1§



「そう・・・貴方が私の最愛の人を殺したからです」


サラの言葉にラドリックは凍りついた。そして、呻くように呟く・・・・


「俺が貴方の最愛の人の命を奪ったと?」

「ええ・・・そうです」

ラドリックの呟きにサラが答える。

「そう、貴方は私の愛しい人を・・・そして、我が部族最強の者であったあの人を殺したのです」

その言葉にサラの後ろに居たギムの表情が変わる。そして、ラドリックは再び呻くように呟いた。

「部族最強の男・・・・まさか・・・・貴方の愛しい人とは・・・」

「そう、私の愛しい人・・・許婚の名はラミアと言います・・・・」




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posted by ラドリック at 22:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月02日

復讐の刃

§1§




「大理石は商館の方に運んで!仕入れてきた鉄鉱石と麻生地は奥の船倉に!」

ソフィアは書類を片手に持ちながら、交易品を運ぶ水夫達に矢継ぎ早に指示を出していた。アレクサンドリアでサラを船に向かえたラドリック達は、サラの部族の追跡を回避する為にアレクサンドリアを出航し、途中アテネに寄港して交易品を仕入れながら、ラドリックが所属する商会である「CAFE-de-Genova」の商館があるチュニスへ寄港したのだった。

「ソフィアさん、この仕入れ発注書なのですが、目を通したとら不備がありましたので修正しておきました」

「ああ、サラさんありがとうございます」

「では私はこれを持って交易所の方に行ってきますね」

「お願いします。護衛にはディックをつけますので」

「ありがとうございます。それでは」

サラは手にした書類をチャドリの裾にしまうと、ソフィアとラドリックに一礼して、ディックの待つ方へと歩いていった。

「どうだソフィア、サラさんは?」

「もの凄く助かってるわ。お兄ちゃんの100万倍役に立ってる」

「そ・そうか・・・・」

ソフィアの言葉にラドリックは頭を掻いた。サラを航海士として迎えた時に、ソフィアはサラを自分の補佐として雑用を手伝ってもらうつもりだった。しかし、サラは交易商である叔父の手伝いをしていたこともあり、雑用だけではなく商売上の様々な事にも素養を見せ、この一ヶ月余りの航海でソフィアにはなくてはならない存在になっていたのだった。

「流石に交易商の叔父さんの手伝いをしてただけあって、商売の基本をしっかり叩き込まれてるみたい。お陰様で私もかなり楽ができるわ」

「そうか・・・・良かったなソフィア」

「ええ、もしサラさんが良ければ、このままこの船にずっと乗っていて欲しいぐらいよ」

「ああ、そうなるといいな・・・・・じゃあ俺も所用を済ませてくるか」

ソフィアの言葉にラドリックは頷くと、舷側の方へ歩き始めた。

「所用って何があるの?」

「ああ、たまたま商館にベネットやjulian卿が来てるらしいんでな。久しぶりに会って話をしてくる」

「船の仕事はどうするのよ!」

「積荷の管理に関しては俺がいても役に立たないだろ?作業が全部終わったら、みんなには半舷休息を与えてやってくれ」


歩き始めた自分に問いかけるソフィアに手を振って見せながら、ラドリックは舷側へと歩いて行った。

「もう・・・・お兄ちゃんったら・・・・・」

ソフィアは頬を膨らませながらそう呟くと、自分の仕事に戻っていった・・・・


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posted by ラドリック at 21:40| Comment(7) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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