2007年03月21日

新たなる旅立ち

「ライザ・ミドルトン、そしてラドリック・ガーランドよ、よくぞこのイングランドを守ってくれましたね、この国に住む民にかわって礼を言います」

女王はそう言うと、頭を下げた。オポルト沖海戦でキングリューの率いる艦隊を撃破し、キングリューを拘束したラドリック達は、ロンドンに凱旋した。そして、負傷したエドやディック達を病院に収容させ、事後処理を航海長のレイモンドに任せると、ライザと共に女王に報告をする為に宮殿に向かったのだった。

「私は陛下の御意を受けてイングランド海軍の士官としての責務を果たしただけです。本当ならば、独断で行動を起こした時点で罪に服さねばならない所を、陛下のお計らいで、キングリューを拘束することができたのです」

「ライザの言うとおりです陛下、私達はイングランドの国民として当然の事をしたまでです。イングランドに生を受けた者として、祖国を守るのは当然の事です」

ライザとラドリックは女王の前に跪きながらそう答えた。

「しかし、貴方達が身を挺してキングリューを撃破してくれなければ、このロンドンは火の海となっていたことでしょう。私はこの国の王として、貴方達の功に報いる義務があります」


女王はそういうと、横に控えるサセックス伯に視線を向けた。その視線を受けたサセックス伯は一歩前に出ると、手にした羊皮紙を開いた。

「ライザ・ミドルトン、ラドリック・ガーランドの両名を本日を持って爵位を一つ進める事とする。それと、今回の海戦にかかった費用と報奨金を国の国庫より下賜する事とする。それと・・・・」

サセックス伯はライザの方を向くと、もう一つの羊皮紙を開いた。

「ライザ・ミドルトンは本日付けでウィリアム・ミドルトンの艦隊より異動を命じる、異動先は王立護衛艦隊・・・そこで、オットー卿の指揮下に入り、分艦隊を率いる事」

その言葉にライザが顔を上げる。

「陛下・・・・それは・・・」

「キングリューは撃破されたものの、我がイングランドは各地に敵を抱えています。今は一人でも優秀な指揮官を育てる必要があるのです・・・ライザよ、貴方にはこのイングランドを守る盾となって欲しいのです」

「陛下・・・・・」

「ウィリアム卿には既に了解を取っています。ライザよ、引き受けてくれますね?」

「私のような者に勿体無いお言葉・・・・このライザ・ミドルトン、命をかけて陛下のご期待にお答えいたします!」

女王の言葉にライザは目に涙を浮かべながら言葉を返した。女王は満足そうに頷くと、ラドリックの方を向いた。

「ラドリックよ、私は貴方にも王立護衛艦隊の分艦隊を率いてもらいたいと最初は思っていました。しかし、貴方はそれを望まないでしょう・・・・そこで、貴方には別の役目を与えます」

女王がそう言うと、サセックス伯が女王の言葉を受け継いだ。

「ラドリック・ガーランドよ、女王陛下の名において、貴官の軍務を解く。そして、新たに新大陸の調査を命じる!」

その言葉にラドリックは驚き、顔を上げて女王を見た。女王は微笑みながら頷く。

「なお、大海戦の参加も自由とする。ラドリック・・・・陛下のご温情に感謝するのだな、総司令官である私としては認めるわけにはいかんのだが・・・・」

「サセックス伯」

サセックス伯が更に言い募ろうとするのを制すると、女王は言葉を続けた。

「ラドリックよ、新大陸の調査は我がイングランドの命運をかける事業です。他の海洋先進国や新興国も新大陸の利権を狙っているでしょう・・・特にイスパニアは新大陸にもっとも近いといわれています。危険も伴うでしょう・・・だから貴方に命じるのです」

「陛下・・・・」

「恐らくこの調査は新大陸にとどまる事なく、インドの東方にある様々な海にも繋がる事でしょう。その調査には熟練の航海者である貴方が適任だと思うのです。やってくれますね?」

「御意にございます陛下、このラドリック・ガーランド、陛下のご期待に副えるよう、身命を賭して任務に当たらせていただきます」

女王の言葉にラドリックは深く頭を下げると、力強い口調で答えた。

「ラドリックよ・・・・十分休養を取り、準備を整えたなら出航しなさい、そして、新天地に羽ばたくのです」

「ありがとうございます陛下・・・・」

ラドリックは溢れる感情を抑えながら女王に答えた。ラドリックの跪く緋色の毛氈に、ラドリックの流した涙が落ちて染みを作った・・・・





そして出航の日・・・十分に休養を取り、完治したエドやディック、そしてロンドンに残っていたソフィアを迎え、準備が整ったBand of lightは、静かに出港の時を待っていた。そして、そのBand of lightを見ながら、王立護衛艦隊の軍服を着たライザとラドリックは立っていた。

「どうなんだ?オットー卿の下は?」

「ええ、お陰さまで充実した日々を過ごしているわ、勿論一筋縄ではいかないけれどね」

そういうと、ライザは微笑んだ。

「ありがとうラドリック・・・貴方にはいくらお礼を言っても足りないわ」

「何を言ってるんだライザ、礼を言わなければならないのはこっちの方さ。苦しい事や辛い事もたくさんあったが、お陰で俺は航海者として一回りも二回りも大きくなれたような気がする」

「私もよラドリック、貴方に出会えたお陰で私も成長したわ。フレディもそうだと思う」

「フレデリクが?」

「ええそうよ、フレディは言っていたわ・・・「戦いが終わったらライザの元に戻ってくる、そしてあの頃の・・・自由な海に二人で出よう」って」

「そうか・・・・」

「だから私は戦い続ける事に決めたの。フレディの言う「あの頃の海」を取り戻す為にね・・・・だからラドリック、その時には貴方も世界一の航海者になっていてね」

「世界一か・・・なれるかな、俺に」

「なれるわよ、だって貴方はイングランドを救った英雄ですもの」

「まいったな・・・・」

ライザの言葉にラドリックは苦笑した。その時、Band of lightの方からソフィアとエドの声が聞こえてきた。

「ぼっちゃん・・・いや、船長、出航準備が整いやしたぜ」

「お兄ちゃん、ぼやぼやしてると置いてっちゃうわよ?それじゃなくても私は海に出たくてウズウズしてるんだから」

「ああわかった、すぐ行くよ」

エド達の言葉にラドリックは答えると、ライザの方を向いた。

「じゃあ、そろそろ行くよ」

「ええ、ラドリックも頑張って」

「ああ」

ラドリックはライザに手を振ると、Band of lightの方に歩き始めた。Band of lightに上がる為にタラップに足をかける・・・その時、後ろからライザの声が聞こえた。

「ラドリック!」

その声にラドリックが振り向く・・・・振り向いたラドリックの視線を栗色の髪が塞いだ。そして・・・頬に一瞬柔らかな感触が触れた。例えるならそう・・・そよ風に頬を撫でられたような感触・・・

「・・・・な・なにを!」

「お礼よ、ラドリック・・・本当にありがとう」

web_dolcomic_p01s.JPG

ライザはそう言うと、港の方に戻っていった。しばし呆然とするラドリック・・・・そして、呆然とするラドリックを現実から引き戻したのは、船上から眺めていたソフィアの言葉だった。

「お兄ちゃんだめよ?ライザさんを好きになっちゃ?ライザさんにはフレデリクさんが居るんだから」

「ソ・ソフィア!」

その言葉にラドリックはタラップを駆け上がると、ソフィアに詰め寄った。

「俺とライザはそんなんじゃない!」

「お兄ちゃん、顔が真っ赤よ?」

その言葉に思わず顔を撫で回すラドリック・・・・その姿に、いつの間にか回りに集まっていたエド達が一斉に笑った。

「お前らも笑うな!」

「すいません、船長の姿があまりにもおかしくて・・・・」

エドがそう言うと、ディックが言葉を続ける。

「船長、今度アンジェラちゃんを一緒に口説きに行きますか!俺が手本を見せますぜ?」

その言葉にラドリックはニヤリと笑うと、ディックに言った。

「お前の手本じゃ当てにならんなぁ・・・」

「はっはっは!まったくその通りだな!」

「船長・・・おやっさんまで・・・そりゃ無いですぜ・・・」

ラドリックとエドの言葉にディックが肩を落とす。ラドリックはディックの肩をぽんぽんと叩くと、周りを見ながら叫んだ。

「全員配置についてくれ!出航するぞ!」

「アイ・サー!」

web_dolcomic_p02s.JPG

帆に風を一杯に受け、Band of lightはロンドンを出航する・・・・新しき大地・・・新天地を目指して・・・・・
posted by ラドリック at 20:20| Comment(5) | TrackBack(0) | ラドリックの航海日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おおお!!!絵が!絵が!w
徐々にマンガにしていくおつもりか!ラドリック卿!!!w
Posted by J at 2007年03月22日 08:58
漫画化きたこれwwwwwwwww

新天地=満州


Posted by かぬへる at 2007年03月22日 17:23
Manonさんの、夏に向けての練習はばっちりだね!
あとはJ…ゲフンゲフン
Posted by 中也 at 2007年03月22日 19:06
うおお、絵が入ってる!
うらやましー!!
綺麗なお話だから、この爽やかな絵が似合うのでしょうね。
ネタ的コラボしか成り立たない我がブログとの差に愕然としましたw

Posted by Julian at 2007年03月23日 01:16
>沢山のコメントありがとうございます。やっ
ぱりManon先生のイラストの力は偉大だなぁ・
・(ぇ

>Jさん

人気低迷?の為に、今回から不定期でManon先
生に挿絵をお願いする事となりました。目指せ
アクセスアップ&メディアミックスですよw

>ブラザー

満州は・・・・・いついけるんだろうなぁ(ぇ
行けるようになったらブラザーには関東軍と戦
って(ry

>中也さん

何の練習かはわかりませんが(ぇ
Manonさんが気が向けば、漫画になるかもしれ
ません。いや、中也さんが望んでる方向ではな
くてね?w

>Julian卿

私がネタが浮かばないのと好対照ですね(ぇ
でもJulian卿なら普通のも書けると思いますよ?
レッツちゃれんじですよw
Posted by ラドリック(管理人) at 2007年03月24日 14:39
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